原因が一つに決められない慢性腰痛——「動作ごとの困りごと」から整理する
予約のきっかけ——原因が分からない腰痛が長く続いている
Hさん(仮名)は長く続く腰痛に悩み、姿勢を変えると張りが戻る、朝の動き出しがつらい、片脚に体重を乗せにくいと感じて来店されました。複数の場所で相談しても原因がはっきりせず、寝返りや立ち上がりなど、日常で特につらい動作を整理したいというご相談でした。
慢性の腰痛は、画像で説明できる一つの原因だけで成り立つとは限りません。筋力や可動域に加え、睡眠、活動量、仕事、痛みへの不安などが重なります。「原因不明」は痛みが存在しないという意味ではありません。
個別の動作を練習するという選択肢
慢性非特異的腰痛149人を対象にした無作為化試験では、日常動作を個別に練習した群は、一般的な筋力・柔軟運動群よりも機能障害スコアが低く、その差は12か月後にも残りました。ただし、すべての人に同じ運動が最適という意味ではありません。
図4・個別動作練習群と筋力・柔軟運動群のMODQスコア差

図が示す内容と注意点:群間差は治療直後7.9点、6か月5.6点、12か月5.7点で、個別動作練習群の機能障害が少ない方向でした。点は平均差、線は95%信頼区間です。対象は慢性非特異的腰痛で、個々の原因や施術効果を保証しません。出典:Van Dillen et al., JAMA Neurol. 2021;78:385–395. PMID 33369625。
施術前に確認したこと
「腰痛」という一語で終わらせず、寝返り、起床、前屈、椅子からの立ち上がり、階段を想定した片脚荷重を順番に確認しました。股関節、骨盤、体幹のどこで動きが止まりやすいか、どの場面で腰へ力が集まりやすいかを動作ごとに分けて見ました。
実際に行った施術とその狙い
腰だけを強く刺激するのではなく、お尻や股関節、体幹まわりを無理のない範囲で動かしました。その後、寝返り、立ち上がり、片脚へ体重を移す動作を小さく分けて練習しました。痛みの原因を一つに決めつけるのではなく、困っている動作ごとに負担の少ない方法を増やすことを狙っています。
運動は、正解の形を一度で作るより、症状が増えない範囲で反復することが重要です。痛みを0にしてから動くのではなく、許容できる範囲を探します。ただし、痛みが右肩上がりに増える場合は負荷を戻します。
まとめ
慢性腰痛では「唯一の悪い場所」を探し続けるより、困っている動作と負荷を具体化することが次の一歩になります。評価と運動は、その日の反応を見ながら個別に調整します。
このようなお悩みがある方へ
原因がはっきりしない腰痛が続く、寝返りや立ち上がりがつらい、動くことに不安がある方は、困っている動作を一つずつ整理してみませんか。ご予約はこちらからどうぞ。
参考文献
1. Van Dillen LR, et al. Effect of Motor Skill Training in Functional Activities vs Strength and Flexibility Exercise on Function in People With Chronic Low Back Pain. JAMA Neurol. 2021;78:385–395. PMID: 33369625. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33369625/
2. Ferreira ML, et al. Comparison of general exercise, motor control exercise and spinal manipulative therapy for chronic low back pain. Pain. 2007;131:31–37. PMID: 17250965. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/17250965/




