体が硬いのに痛くないなら問題ない?|症状の有無だけで判断しない身体の見方
- 6 日前
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首や肩がとても硬くても、本人はほとんどつらさを感じていないことがあります。
反対に、触った印象では強い硬さがなくても、痛みを訴える方もいます。
今回は、慢性的な凝りがあるのに症状をほとんど感じていなかったBさんの例から、「硬さ」と「痛み」を同じものとして考えてよいのかを整理します。
硬さと痛みは必ずしも一致しない
Bさんの首や肩には、触れたときにはっきり分かる硬さがありました。
しかし、頭痛や強い肩こりなどの自覚症状はほとんどありませんでした。
首の筋肉の硬さを超音波で調べた研究では、慢性的な首の痛みがある女性と症状のない女性との間で、測定した筋硬度に有意差は認められませんでした。
痛みのある群の中央値は11.6kPa、症状のない群は13.3kPaで、単純に「硬いほど痛い」という結果ではありませんでした。
図1 首の痛みの有無と、測定された筋硬度

この研究だけですべての肩こりを説明することはできませんが、硬さと痛みを一対一で結びつけられないことは分かります。
痛くないことと、十分に動けることは別
痛みがないと、「身体に問題はない」と考えがちです。
しかし、日常生活の範囲が狭ければ、動きの制限があっても困らないことがあります。
Bさんの場合、腕を上げる動きや背中を動かす課題を行うと、首・肩・背中がそれぞれ独立して動きにくい場面がありました。
痛みが出ていなくても、特定の作業やスポーツで動きの範囲が広くなったとき、初めて負担として表れる可能性があります。
日常動作では「代わりの動き」が起こる
たとえば、前かがみになりながら腕を上げる作業を考えてみましょう。
胸郭や肩が十分に動かなければ、首を強く曲げたり、腰を丸めたりして目的の位置へ手を運べます。
作業そのものはできるため、本人は制限に気づかないことがあります。
しかし、同じ場所で繰り返し補う状態が続けば、首や腰へ負担が偏る可能性があります。
施術や運動の前後で変化を見る
身体の評価では、一回触って「硬い」「柔らかい」と決めるだけでは十分ではありません。
腕を上げる、首を回す、前屈するなど、本人に必要な動きを確認します。
そのうえで、身体の一部を動かした後に同じ動作がどう変わるかを比べます。
変化があれば、その場所が動作に関わっていた可能性を考えられます。
ただし、短時間で動きが変わったことだけで、痛みの原因を断定することはできません。
症状の有無だけでなく、できることを見る
身体の状態を見るときは、痛いかどうかだけでなく、左右差、動かしやすさ、疲れやすさ、動いた後の回復なども大切です。
Bさんのように症状が少ない場合は、不安をあおる必要はありません。
むしろ、日常で困っている動作があるか、以前より動きにくくなっていないかを確認し、必要な範囲で身体を動かすことが現実的です。
急な痛み、しびれ、脱力、発熱などを伴う場合は、自己判断で運動を続けず医療機関へ相談してください。
参考文献
Dieterich AV, et al. Neck Muscle Stiffness Measured With Shear Wave Elastography in Women With Chronic Nonspecific Neck Pain. J Orthop Sports Phys Ther. 2020.
Alshami AM, et al. Strength and Range of Motion in the Contralateral Side to Pain and Pain-Free Regions in Unilateral Chronic Nonspecific Neck Pain Patients. J Manipulative Physiol Ther. 2019.



